今、注目の建部町 古くて新しい魅力発見

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かつて、高瀬舟の船着場があり津山往来の宿場町として栄えた建部町。岡山市中心部からは車で40分ほどの場所で、観光列車「SAKU美SAKU楽(さくびさくら)」が旭川を通過する撮影ポイントとしても話題です。今回は、桜の名所「たけべの森公園」の桜情報とともに、町内の新しいお店や人気スポット、お土産情報を紹介。電車はもちろん、マイカーやサイクリングで、春を探しにプチ旅に出掛けてみませんか?

掲載日:2023年03月17日

ライター:観光ライター 頼實

ゆるりと過ごす贅沢時間

最初に訪れたのは、国道53号線沿いに昨年5月にオープンした「田渕商店」です。旭川のほとりにある古民家をリノベーションしたカフェで、週末は行列ができる人気ぶり。インスタ映え間違いなしのカキ氷(5月から)が話題の店です。
今回は、花見シーズンということもあり、自分で焼くスタイルの「七輪おだんごセット」(1200円)を注文しました。

だんご6本と季節の味噌、みたらし、醤油、黒蜜、きな粉、あんこがセット。それに抹茶かコーヒーが付きます。材料は国産のみを使用。あんこは、老舗和菓子店「清風庵」、醤油は備前市の「鷹取醤油」と、県内の厳選食材ばかりをチョイス。“味変”が楽しい一品です。
炭火でじんわり焼きあげる時間も、日常を忘れる贅沢なひととき。大きな窓から見える旭川の流れにも癒されます。

焼き芋の香ばしさと風味がそのままアイスになった「焼き芋アイス」(500円)も人気です。通常よりも密が多い蜜芋・紅はるかを使用し、ひんやり、甘くて香ばしい味が楽しめます。
アイスクリームの製造には、岡山市九蟠の製造業・オカネツ工業の技術が詰まったアイスクリームブレンダーを使用しているそう。マシンも「メイド・イン・岡山」を積極的に採用するオーナーの岡山愛を感じました。

場所は国道53号線沿い。週末は行列ができるので、平日が狙い目です。旭川に向かっていろいろな席があるので、お気に入りを見つけてみてください。

100種類1万5000本の桜が次々と

県内有数の桜の名所と知られる「たけべの森公園」では、3月下旬から5月上旬にかけて、100種類1万5000本の桜が楽しめます。これだけの長い期間、桜が楽しめる場所は珍しいかもしれません。
中でもファンが多いのは「藤右衛門桜の小径」と呼ばれるヤエベニシダレザクラです。40年以上前、京都の桜の大家・佐野藤右衛門氏が指導し、町内のボランティアとともに、ヤエベニシダレザクラを植栽したのがはじまり。毎年、1・5キロに渡って続く桜のトンネル周辺で、大勢の人がお弁当を広げるなど花見を楽しむそうです。

シーズンになると、代表的な桜の開花状況を知らせる「桜だより」が登場します。設置場所は、建部町産業観光物産案内所と、たけべ八幡温泉です。
4月9日(日)に開催予定の「たけべの森はっぽね桜祭り」は、地元特産品の販売や郷土芸能の発表を目当てに賑わいます。
そのほか、AC電源を完備したオートキャンプ場やフリーサイトがあるほか、レジャープールやかぶとむしどーむ(夏季)、手作りの遊び場コーナーや散策型ゲームの開催なども。
「たけべの森公園」の入園料は大人300円、小・中学生200円。

「美術館のような温泉」たけべ八幡温泉

散策に疲れたら、美術館のようなアートな見た目の「たけべ八幡温泉」へ。
現在、3月31日までの平日限定で(火曜日を除く)、「ほっこり旅応援」キャンペーンを開催中です。
内容は、入浴料+「ほっこりジビエランチ(温玉付き)」に、たけべのブランド米(750g)のお土産付きで1000円(通常料金の半額)。
入館時にWebクーポンを提示(中学生以上が対象)すると割引対象に。詳細は、たけべ八幡温泉のHPをチェック。

源泉掛け流しのお湯自慢の施設で、地域住民はもちろん、市街地からもリピーターが訪れます。
入浴料は通常、大人660円、小学生400円。内湯と外湯が合計6個あり、そのうち源泉掛け流しが4個。外湯は、旭川のせせらぎや気動車が通過する音を聴きながら、じんわりと体を温めることができます。檜風呂には香りの癒し効果も。

売店には、地元の野菜や果物のほか、ヨーグルトや地ビール、味噌、こんにゃくなどの特産品も。
オリジナルラベルの「たけべ八幡温泉ビール」(550円・330ml)や、建部町産雄町米で醸造した「福わたり」のワンカップ(320円・180ml)も販売しています。

施設にはレストランのほか、家族風呂、宿泊部屋(素泊まりのみ)、会議室、温泉スタンド、そして無料の足湯もあります。
徒歩圏内には、幸福(しあわせ)橋や、建部ヨーグルト工房、めだかの学校、気動車の撮影スポットも。
毎年5月(今年は5月13、14日)には、全国から競技者が集まるカヌーの大会が開催されます。たけべ八幡温泉前の旭川流域が会場になるため、競技風景を見るのも楽しそうです。

本場職人による絶品ミラノピザ

本場のピザ職人の店があると聞いてやってきたのは、ピッツェリア マル屋。
職人歴30年のマルコ・ジェノニさんが提供するのは、故郷ロンバルディア州の味でミラノ風ピザです。
居合わせた常連さんに勧められた「ハムとアーティチョークピザ」(1600円)を注文してみました。薄く平らに伸ばした生地は、焼き上がるとパリパリッとした食感。生地部分の小麦粉やイーストもマルコさんオリジナル調合で、生地自体に旨みがあります。

初挑戦のアーティチョークはタケノコのような食感で、ハムとの相性もバッチリ。ミラノ風の特徴の一つであるオレガノの香りもスパイシーで食欲が湧きます。お花見弁当としても人気というのも頷けます。
マルコさんが手に持つのは、直径60センチもある「グランデピザ」(6000円〜、7、8人前)用の道具。テイクアウトもできます。
在日イタリア商工会議所が認定する「イタリアンレストラン品質認証マーク」を取得しているのは、岡山県内ではここだけだそう。

マルコさんはスイスやイギリスなどヨーロッパで職人として働いた後、ローマで出会った麻利子さんと結婚。麻利子さんの家族の出身地・建部に移住し、テイクアウトの店を経て、2019年にマル屋をスタートしました。
「10代の頃からピザ職人専門の学校に通い、ずっとピザを作り続ける職人気質。彼のルールがあるので、基本的には彼が全て店を切り盛りしています」と麻利子さん。

八幡橋から53号線を北上すると、右手にイタリア国旗のある建物が見えてきます。
看板に赤い「OPEN」の文字が見えている時が開店中。マルコさんが自信を持って作るミラノ風ピザは、食べる手が止まらなくなる美味しさでした。Instagramで営業日と営業時間をチェックしてお出かけを。

魅力的な建部のお土産たち

53号線沿いにある「建部町産業観光物産案内所」では、和三盆の黒糖蜜と厳選小豆を使用した建部名物「すぎ茶屋まんじゅう」や、町内で自家焙煎を行う「Sunny Day Coffee」のオリジナルブレンドのコーヒーも販売。
「福渡」「しあわせ橋」など、建部町にちなんだブレンドコーヒーもあります。

新鮮な地場野菜や果物が並ぶ店内。
建部産の大豆を使用した手作り味噌、豆腐、お漬物、蜂蜜なども。旭川の清流と自然の中で育まれた豊かな食文化を垣間見ることができます。ここに来たら、気に入ったお土産が見つかりそう。

【建部町産業観光物産案内所】
住所/岡山市北区建部町福渡991-1
電話/086-722-3177
営業/8時30分〜17時
定休日/年末年始

建部町と言えば「建部ヨーグルト」が有名です。
古くから酪農が盛んだった建部町では、町内産牛乳を100%使用した無添加のヨーグルトを約35年前に開発。ヨーグルト工房では製造工程を見学できるほか、ヨーグルトを使ったソフトクリームも販売中です。
ヨーグルトやのむヨーグルトは、町産業観光物産案内所やたけべ八幡温泉でも購入できます。

その建部ヨーグルトを使ったロールケーキを製造するのは「ケーキハウスキシモト」です。「建部ロール」(1本1400円、1カット300円)は、生クリーム部分にヨーグルトをたっぷりと使用。甘さを抑えたさっぱりとした軽い口あたりで、幅広い年齢層のファンがいるそう。生地も歯切れ良く仕上がっています。
このほか、ヨーグルトを使った加工品の輪は広がっていて、町内で「タケべヨーグルトカレー」も見かけました。
まだまだ魅力的なお店やスポット、お土産がありそうな建部町。何度でも訪れたくなる魅力的な町です。

岡山市公式観光情報 OKAYAMA KANKO.net